2018年8月出版。ダメ税理士に任せておけず、自分が税理士になって、不動産の節税専門で飯食っている石井さんの本。
初心者というより、中級者から上級者向け。
不動産本の多くは再現性が低かったり、たまたま成功してその体験談でセミナー呼ばれるために書いた本があふれている現在の中ではかなりの良書だと思いました。
知らなかった知識を箇条書きにすると
・土地総合情報システム⇒不動産取引価格情報検索 に行くと、過去の取引の値段や土地単価、築年数、構造などがわかる。マップ上に天表示され、クリックすると情報が引き出せるので、いい案件あった時すぐ調べればその地域の現在の相場感を素早くつかめる。
・株式会社ICHI⇒マーケットレポート 上記と同じように、google mapのようなマップの上に、点で最近の土地やマンションの取引情報が出てくる。坪単価もわかるため、調べるのに重宝しそう。
・地域経済分析システムRESAS 日本地図が出てきて、市町村単位で人口の増減がパーセンテージ別に色分けされている。購入しようとしている地域の活性化具合が視覚的に理解できる。
・見える賃貸経営 ホームズが出している、地域毎の空室率や利回りなどが、地図上で色分けされて表示される。購入に際して参考にしやすい。
「出口戦略」について、筆者と同じ考え
一般的に「出口戦略=高値で売却」というフレーズがよく見受けられますが、手元にキャッシュが必要でない限り、売却するよりずっと持ち続けた方がよい。
売却益が出ても、仲介と税金で取られてしまう。日本の土地神話については疑問を持っている反面、首都近郊の土地が今後大きく資産性が下がる可能性は低い。ならば、孫の代まで入居できるような、都会で駅近、新築を狙って、修繕しながらキャッシュを貯め、さらに拡大していった方がよいという考えです。
手残りが増える、土地建物比率の計算割合
建物比率が多いほど減価償却が取れる、もしくは消費税還付が増えるので、建物割合を増やしたい。その特例についての計算法が書いてあります。中古では重宝しますね。不動産鑑定士を入れてもよいですが、値段もかかります。
・固定資産税評価額で算出する方法
・工事価格で算出する方法
・建物の標準的な建築価格表で算出する方法
・不動産鑑定士評価
どれも慣れれば10分くらいで完成します。売主に特に理由がないなら、こちらで割合を決めて問題ないので、1時間くらい計算して考えるだけで100万以上は簡単に変わってきます。
原状回復工事なら、形式的基準を超えて全額修繕費
全く知らなかった。普通は、「修繕は60万まで、もしくは10%以下」というルールがあるのですが、「機能回復」を理由にすれば全額修繕費。
その他
あとは、よくあるパターン。
・法人あるある、複数法人、決算月変更
・中古耐用年数での節税
・旅費を経費算入
・生命保険節税、逓増定期、長期定期保険、養老保険
・iDeCo、ふるさと納税、小規模企業共済、経営セーフティ共済
・法人M&A、相続、タワマン節税、海外不動作節税
・消費税還付
よくここまで集めたものです。昨今の「オレのやり方すごいだろ系」「あんまり詳しくないのに、知ってるぜ系」などの他の不動産本とは一線を画します。
PS. この本は2018年8月の本ですが、2019年2月に、ずっと言われ続けていた「逓増定期保険」が無くなりました。
PS. 2019年3月に、消費税還付における新法案の案が、国会に提出されました。2020年1月か、4月に施行される可能性があり、いよいよ消費税還付が終わります。しかし、イタチごっこになりますが、すでに抜け道がいくつか考案されており、まだ戦いは続きそう。
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