参考図書
・ランチェスター戦略 「弱者逆転」の法則
・Zero to One 君はゼロから何を生み出せるか
・競争戦略論Ⅰ
・キャズムVer2
・小さな会社の稼ぐ技術
・小さな会社★儲けのルール
他いくつか
経営戦略系のゴツイ本
経営戦略という学問が存在し、MBAでもかなりの割合を割いています。法人を作ったとして、そこからどうやってお金の生まれる会社に育てていくか。コーチングの本の紹介で「目的」と「ゴール」「目標」について書きましたが、それらは「道筋の指標」でしかなく、どうやってそこまでたどり着くか考えるのが経営戦略です。
ランチェスターの法則
ランチェスターの法則は、イギリス人のエンジニア、フレデリック・W・ランチェスターが1914年に発表した戦闘の数理モデルです。要は、戦力などを数値化して、敵と戦ったらどういう結果になるかを科学的に数字で表わせるようにして、「こういう条件で闘えば、ほぼ必ずこうなる」という法則を発見しました。
第二次大戦では、米国を中心にした連合国軍側が、軍事作戦や攻撃効果の分析・決定にこの法則を応用して活用し、大きな成果を上げた、と言われています。
その後、ランチェスターの法則をビジネスに応用して成功する経営者が続出し、日本でも1950年代以降、和訳の書籍も刊行されて広く知られるようになりました。
5F分析
ランチェスターの法則を現代の経営に当てはめようとして、必ず現れるのが5F(ファイブフォース)分析、VC分析、3C分析などのフレームワークです。どこかで聞いたことはあるかもと思われますが、5Fは集中して学んで損はないと思います。現実的によく使えるし、プレゼンで説得力があります。これは参考著書の「競争戦略論Ⅰ」の著者マイケル・E・ポーターが考案したフレームワークです。
【攻撃するときの5つの競争要因】
(1)「新規参入」が容易になる状態をつくり上げる
(2)「代替品」として既存品に置き換わる
(3)「供給業者」と他社の関係を破壊する
(4)「買い手」を新たな商品に誘導する
(5)「競争業者」の優位性を破壊する
【防衛するときの5つの競争要因】
(1)「新規参入」が難しい状態をつくり上げる
(2)「代替品」がない独自性を追求する
(3)「供給業者」と特別な関係を築く
(4)「買い手」が浮気できない状態にする
(5)「競争業者」への優位性を維持する
『競争の戦略』に、プレルード・コーポレーションの失敗例が出てきます。「ロブスター漁業のGM」を目指した同社は、最新技術の高価な漁船で大船団を組み、船の修理やドック施設も社内に備えて、トラック輸送やレストランと垂直統合も進めました。ロブスター漁業に大規模化を持ち込んで勝とうとしたのです。
隙のないように見えた同社の参入は、零細漁民たちから猛烈な反撃を食らいます。漁民が値段を限界まで下げ始めたのです。間接費や固定費が多くなった同社に比べ、零細漁民の「何でも自分でやる」「家族が食べていければ十分」という低コスト化が可能な環境に太刀打ちできず、プレルード社はやがて操業停止に追い込まれました。
零細漁民は、大手企業の参入を「防衛力」をフル活用して撃退したのです。ジレット社がデジタル時計のテスト・マーケティングをしたときも同じ結果となりました。同社の動きに反応した既存企業の大幅な値下げ攻勢で、ジレットは参入を諦めたのです。
一方、タイメックス社はスイス製腕時計が支配している業界に参入する際、低価格だが丈夫な製品を発売。時計の流通の中心だった宝飾店ではなく、スーパーマーケットなどを中心に売り場を展開して大きくシェアを伸ばしました。
スイス勢は高級品が主力のため、低価格で反撃できず、支配していた既存流通とは違うマーケットに進出されたことで、タイメックスの動きを阻止できませんでした。攻守共に、参入障壁を効果的に使いこなす側が「競争の勝者」になるのです。
21世紀の名著「Zero to One 」
起業家、投資家であるピーター・ティールが書いた一冊「zero to one」。彼がスタンフォード大学の学生向けに行った起業に関する講義を元に書籍化したで、「私のバイブルはこの本です」とまで言う人もいるほどの名著です。
最近では、世間を賑わせているトランプ米大統領の政権移行チームのメンバーとしても注目を集めました。トランプが大統領就任早々、アップルのティムクックやフェイスブックのシェリルサンドバーグ、アルファベットのラリーページなど、IT業界の錚々たるトップたちを集め(アベンジャーズ大集合か!と話題になったやつ)会合のときにも、大統領の隣にしっかりと座っていたキーマンです。
彼のスタートアップ時の考え方では、
①小さな違いを追いかけるより大胆に賭けた方がいい
②出来の悪い計画でも、ないよりはいい 。しかし、最初が肝心
③競争の激しい市場では収益が消失する
④販売はプロダクトと同じくらい大切だ
というのが挙げられています。
よく語られるベンチャー、スタートアップの成功の秘訣は、とりあえず素早く始めてPDCAをスピーディーに回し続けること。日々修正、ライバルのものはすぐパクリ、プロダクトを改良し続けることだと言われていますが、ピーターはこれとは逆の戒律を提示します。つまり流行りモノはレッドオーシャンであり、人と同じことをするなという事。
そして、「独占しろ」と伝えています。自問すべき最も重要な問いは
「このビジネスは10年後も存続しているか」 という事であり、ベンチャーで短期的な儲けを目指すより、理念を掲げて独占し、10年以上利益を出し続けることの方を優先すべきであると説いています。
ティールは世の中の進化は二つあり、一つは「1をnにする」つまり先駆者の真似をするやり方と、「0を1にする」という、誰もやらない事をやるやり方があると説いています。日本企業は右へならえ精神が強いので、「1をnにする」のが得意ですね
ティールはこの中で、後者の誰もやっていないライバルのいない市場でスピーディーに動き、一気に独占する事を推奨しています。そのために必要な事は
賛成する人がほとんどいない、大切な真実を見つける
という事。この言葉自体が、大いなる矛盾があります。大切な真実なのに、それについて誰も賛成していないものなんて、世の中にあるとは思えないですから。本の中での例え話として「どこかに行きたいという人と、どこかに送りたい人を繋げれば、ビックビジネスになる。世の中のほとんどの人はタクシーをつかまえるが、人と人を繋げるサービスを作ろう。タクシー以外にも人を送りたいと考える人がいるという真実を、みんな理解していない」と出来上がったのが、あのウーバーです。今や、隙間時間の2時間とかを使って、ウーバーの運転手をやってお小遣い稼ぎをするのが海外では常識化しています。ウーバーは隠れた真実を見つけ、スピーディに世界進出できたため、その市場はほぼ独占状態にまでなりました。
このように、「アイディア」「小さな市場」「スピード」を重視するのが ピーター・ティール の考えです。そしてそれは、独占へと繋がり、「キャズム Ver.2」の本の中の「顧客が痛みを持つ小さな市場に絞り込み、キャズムを越えて、別市場を広げろ」というムーアの法則に繋がっていきます。
小さな経済圏で、ジャイアントキリングを起こす
「小さな会社シリーズ」では、ランチェスター戦略を理解したのち、「弱者でも正しい戦略を実践すれば、局地戦では大企業を打ち負かすことができる」と説き、中小零細企業の戦略に応用する方法を解説した書です。
大企業と中小企業では経営戦略が違ってきます。最も重要なのは、「差別化」、「小さな一位」、「一点集中」、「接近戦」であり、良くも悪くも範囲を絞り、全てをやろうとせず1つに絞るという事を重要視しています。
今現在の日本では、大人の14人に1人は社長という統計があります。しかし、10年後も残っている確率は20%。しかも、最初の半年で4割は消滅しています。
また、市場独占率というのがあり、1人当たりの経常利益は市場独占率の2乗に比例しています。1位の会社の一人当たりの経常利益は、2位から4位の会社の3~6倍程度になる計算です。では、どのくらいで市場独占率1位になるかというと、実は26%以上です。それ以上あり、その市場で1位なら独占です。
そこで、たどり着くのが「地域で1位」という考え方。大手は日本、世界規模で考えているので、戦略がまるで変ってきます。ある地域に限定して、地域密着型で勝ち抜いていけば、大手よりもシェアナンバーワンを狙えるし、そうするべきです。
「小さな会社シリーズ」 では、そのような地域でのジャイアントキリングの実例で成り立っている本なので、非常に読みやすく、理解しやすいです。
自分の考える、経営戦略
・賛成する人がほとんどいない、大切な真実を見つける
・それが「0を1にする考え」なら最高だが、「1をnにする考え」でも、5Fでレッドオーシャンでなければよい。
・ビジョンを共有できる、正しい仲間を見つける
・小さなチームで 情報、意志を共有し、 スピーディに動く
・初めの計画は長期的なビジョンも含めて作り、PDCAで修正を加えていく
・小さな規模の経済を独占する。
・少しずつその範囲を大きくしていく
まさに、今、この考えからある田舎を使って大きな実験を行っています。1年間に3店舗同時に、ある業界で進出し、地域ナンバーワンを勝ち取っていきます。銀行からの融資も通ったので、まず3店舗同時展開でうまくいけば、あとは徐々に地域を広げていきたいと思います。
スタートアップはビジネスの基盤ですが、仕事としては一番やりがいがあり楽しい仕事です。リスクもあるから怖がっていましたが、理論武装をして仲間を増やすと、あとは時間が過ぎれば価値しか見えない状況が整ってきます。
やはり、日々是勉強ですね。
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