ライフシフト

ライフ・シフトの内容を一言で

「これまでの教育、仕事、老後の3ステージ制からマルチステージ制へ。
 今20代の人の半数は、老後ステージは80歳くらいになるので、それまで仕事しないといけない。そのため、仕事も一つで完結するわけではなく、副業したり、仕事を変えていくようなマルチステージ制の人生へ」

現在のいわゆる全世代平均寿命は、男性81歳、女性87歳ですが、この数字にはトリックが隠れていて、

・生まれてすぐに亡くなる人も含んでいる点
・全世代なので、医療技術の進歩などによる平均寿命の伸びを考慮していない点

という点で、本当の意味で正しいとは言えません。

事実、2019年現在で20代の人の平均寿命は、50%の確率で107才まで生きる事が統計的にわかっているそうです。

そうなると、これまで頭で描いていた老後(年金でゆっくりゴルフ三昧)が確実にできなくなり、むしろ「元気に生き残ってしまう」ため、生活資金を作るために働く必要が出てくる。

今後は100年生きることを前提とした人生設計が必要になり、それは一つの仕事で終わるわけではなくなります。年齢と経験に合わせて 転職を繰り返すマルチステージ制になり、年齢や性別を超えて、一緒に仕事していくために様々な資質が必要になってきます。

マルチステージの3種類のステージ を定義

①エクスプローラー
②インディペンデント・プロデューサー
③ポートフォリオ・ワーカー

①エクスプローラーは、人生の意味や自分探し、世界を知る期間

例えば、旅に出たり、インターンシップをしたりするような期間の事。この時期では、多様な人たちの苦悩や喜びを自分事のように考える「るつぼの経験」が組み込まれていることが望ましいです。他の人生の物語にふれることで、自分の価値観が揺さぶられ、アイデンティティについて熟考できるためです。

②インディペンデント・プロデューサーは、大企業を創業したいわけではないが、自由に働く「個人事業主」的な働き方をする期間。

このステージの人たちは、事業活動自体を目的としており、試行錯誤しながら未来を探索する「プロトタイピング」を通じて、学習を深めていく人たちです。このステージでは、安心して失敗できる時期の人たちで、現在の18~30歳の層にとっては一つの選択肢になりつつあります。彼らは都市部にある創造性の集積地に集まって、みんなで協働する精神を重視しています。

③ポートフォリオ・ワーカーは、企業で働きながら他の能力を磨く時期。

他の新しいステージと同様、年齢を問わず実践できますが、この生き方をとりわけ魅力に感じるのは、すでにスキルや人的ネットワークの土台を築いている人たちです。このステージにうまく移行するには、フルタイムの職に就いているうちに、小規模なプロジェクトで実験を始め、汎用的スキルや社外の多様なネットワークといった変身資産を育むことが望ましいです。

そして、このようなマルチステージの人生を生きるには、お金という資産以外に、「無形の資産」を作ることが大切です。

無形財産の4種類を定義

生産性資産

生産性資産とは、生産性や所得、キャリアの見通しを向上させるのに役立つ資産を指します。わかりやすい例は、長年かけて培ってきたスキルや知識の事。ただし、キャリアの初期に身につけた専門技能を頼りに、長い勤労人生を生き抜くことは難しいです。そのため、生涯を通じて、複数の新しいスキルと専門技能を獲得し続けることが重要になってきます。

身につけておきたいスキルや知識は、情熱を注げることを前提としつつも、経済的な価値を生み出せて、しかも希少性があり模倣困難なものであるべきです。具体的には、「イノベーションを生む力、創造性」、「意思決定やチームのモチベーション向上といった、人間ならではのスキルと共感能力」、そして「思考の柔軟性や敏捷性といった、汎用スキル」などです。

また、仲間の存在も生産性資産の一端を担います。高い信頼性を持つ職業上のネットワークは、互いの成長やイノベーションの促進に大いに役立ちます。また、時としてコーチや支援者となってくれたり、必要な人脈を紹介したりします。

評判も生産性向上に寄与してくれます。良い評判を得ていれば、高い能力があるのではないかと期待されやすく、守備範囲を広げやすくなります。ただし、評判の獲得には時間を費やさなければならない一方で、自ら評判を完全にコントロールすることは不可能に近いです。今後は、ソーシャルメディアにより評判を左右する情報がますます拡散されやすくなるため、幅広い範囲で自分の評判を管理することが求められるでしょう。

活力資産

活力資産とは、人に幸福感をもたらし、やる気をかき立てる資産を指します。具体的には、肉体的・精神的健康や、友人や家族との良好な関係などです。

まず、健康は長寿化時代において価値を増す一方です。エクサスケールの本でも、最終的に一番大切にするのは、健康と言っています。とりわけ、明晰で健康な脳を保つことは大きな意味を持ってきます。最近の研究によりますと、加齢により脳の機能が衰えるのを避けられないという常識が変わりつつあり、脳をくり返し使用すれば、機能を高めたりダメージからの回復を促したりすることもできるようです。

また、ストレスを引き起こす要因をうまく管理することも大切です。中でも、職場と家庭のバランスをとり、両者での前向きな感情が伝播し合う効果は見逃せません。

そのほか、活力資産の形成に役立つのは、長い年月をかけて築かれ、深く結びついた親しい友人たちとの関係です。これをグラットンは「自己再生のコミュニティ」と呼んでいます。友情を長続きさせ、深めている人は、高齢になってもエネルギッシュで前向きな傾向が見られます。

変身資産

変身資産とは、人生の途中で変化と新しいステージへの移行を成功させる意思と能力のことです。移行につきものの、不確実性への対処能力を促す要素ともいます。具体的には、次の3つの要素が必要となってきます。

1つ目は、「自分について良く知っていること」。自分の過去、現在、未来について内省し続けることで、変化を経験しながらもアイデンティティと自分らしさを保ちやすくなります。

2つ目は、「多様性に富んだ人的ネットワークを持っていること」。昔からのネットワークは同質性が高いため、変化を促すよりも、同質であることを後押しする傾向が強いです。そのため、新しい視点を得て、変身を遂げていくには、大規模で多様性に富んだネットワークに接することが欠かせません。

3つ目は、「新しい経験に対して開かれた姿勢を持っていること」。変身の過程で既存の行動パターンが脅かされるときに、新しいやり方を実験し、受容する姿勢を持つのです。すると、新しい生き方を探索し、適応することができるようになってきます。そこでは、型にはまった行動を打破する「ルーチン・バスティング」が必要となります。

このように、3つの「見えない資産」に投資を続け、自らを再創造(リクリエーション)することが、充実した100年ライフを送るためのカギとなるだろう。

パートナー(結婚相手)

ステージの移行期は、どうしても金銭面が不安定になりがちです。この不安定な面をカバーするには、パートナーと移行期をずらすようにして、家庭の収入の変動を抑える必要があります。

長寿化という一つの”事実”を軸に、それを恩恵にできるか災厄にしてしまうのかは我々次第。政治とか企業とか学校が変わる必要もあるけど、まずは一人一人から行動を始めていくしかありません。なので、まずは自分から、お金のこと・生産性資産のこと・活力資産のこと・変身資産のことを考えながら、家族含めた人生設計を見直すべきです。

現在それくらいの年齢のお子さんを持つ親や、教育に関わる人は、そのような認識を持って、その子が「100歳まで幸せに暮らせる能力」を育んであげなければいけません。

感想

この本を読む限り、日々の勉強に対しての動機付けがしっかり出てきます。主業の他、テレビや余暇を削って副業や勉強することが趣味の私にとって、「資格を取る」という事に対して意味があるのか、家族に説明するのが難しかったからです。

人生の成功は何をもってかは他の本に譲るとして、生きるための最低限のお金というものに対し、収入源となる財布を数種類もつのは必要だと考えます。

今後のマルチステージをどううまく乗り切るのか。個人的な考えとしては、今の主業と、全く関係のない副業両方で頭角を現し、その両方に関わる場所で自分のシェアが確立させていくのがよいと思います。この事は藤原和博さんの本で紹介した『100万分の1のレアな人間』に方法が書いてあります。

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