エクサスケールの衝撃

一言で言うと

「10年後くらいにコンピュータの処理能力が、いよいよ別次元への線を超えてくる。シンギュラリティという線の事で、これを超えると、AIが人類の問題を解決してくれて、いよいよ映画的な未来がやってくるよ。2030年くらいの予想で意外にすぐ来るから、今から知っておこう」

エクサスケールとは単位のことで、京の100倍の事です。過去にスパコンランキングで1位をとった日本のスーパーコンピューター「京(Kei)」の100倍の性能を持ったコンピューターが「エクサスケールコンピューティング」と呼ばれます。

このエクサスケールコンピューティングは、これまでのスパコンによって持たされたら恩恵とは別次元の革命とも呼ぶべき社会変革を起こすと言われています。それは今まで人類が経験してきたあらゆる変革よりも遥かに巨大で、本質的で根源的なものとなり、多様で広範に及ぶ人間の生活、社会全体の仕組み、価値観、尊厳、全てをいっきに変えてしまうだけの衝撃をもたらす可能性があります。

この変革において二つのフェーズが表れます。

一つ目が前特異点(ファーストインパクト)で、いくつかの点でコンピュータの知性が全人類の能力を凌駕して、人類の知らない新たな発現をし出す壮大な新世界。

二つ目が特異点(セカンドインパクト)で、AIにより「人類全体の知性の総和」を大きく超越する世界。

このファーストインパクトの発現が早ければ10年、遅くとも20年のうちには確実にやってくるというのが今回の肝になります。

ではファーストインパクトでどんな変革が起きるのか。

・エネルギー問題の解決
・食糧問題の解決
・土地の無料化
・生活の為に働く必要のない「不労」
・「不老」の体を手にできる。

順を追ってみていきたいと思います。

始めに達成されるのは、エネルギー問題

エネルギー問題の解決とは現在利用されているエネルギーをより効率的、より高性能に利用出来るようになり、クリーンエネルギーが台頭し、様々な技術革新が起こります。結果、最終的にはエネルギーが無料になると考えられます。

「重油産生藻類」「オーランチキオトリウム」「重油産生有機モジュール」 の話を始め、いくつか具体的な話が登場しており、すでに実用化に向けていくつもの代替エネルギーが動いています。

これらが達成されることでエネルギーがフリーになり、電気が欲しいときに欲しいだけ供給されるようになります。重油産生藻類によって同等品が大量に供給されるので化石燃料の価値が殆どなくなり、結果として自動車や船舶、飛行機などの運賃や輸送費も最終的には無料となっていきます。

次に食糧問題

「植物工場」で安定した食糧供給が可能になるため、食糧問題が解決。施設内で植物の生育環境を完全にコントロールし高度な環境制御と生育予測によって野菜等の植物の周年生産や計画生産が可能になっていきます。

・生育期間の大幅な短縮による多期栽培が可能。
・短い生育期間でありながら収穫量を最大化。
・植物に与えられる外的ストレスがなくなり品質や見た目が向上、安定化し鮮度が長く保たれる。
・養液と光源の性質制御によって特定の栄養素を増強した機能性野菜が栽培可能に。

最大のデメリットが莫大な電気代ですが、エネルギー革命で電気代が無料なのですでに解決されています。更に、食物を遺伝子レベルで解析することで、コメの12期作すらも可能になってしまうと。

この「植物工場」は場所が自由なので、都心の真ん中で栽培、コンピュータ制御による単純作業をロボットにやらせるため維持運営のコストが殆どかからず、運搬費用もかからない。

「衣」「食」「住」の質はどんどん改善されていき人間の労働時間も殆ど僅かなものになっていき、娯楽、趣味、旅行、贅沢品と全てのものがフリーになっていきます。

土地の無料化、貨幣価値の見直し

土地というものは、それが有限だから価値があります。そして、その場所を人がたくさん欲しいと思うような場所だから、値段が上がる。

衣食住が自由化されると、農業をする場所に困らなくなるので、都会以外の土地の需要がなくなってきます。人はすべて都市に集約され、例えば六本木や銀座のような場所は高所得者しか住めないでしょうが、東京周辺という事なら、皆それぞれタワーマンションのような場所に移り住むことが可能となってきます。そちらの方が効率がよいと考えられます。

衣食住の他、娯楽まで無料化されると、いよいよ貨幣の存在価値がなくなっていきます。高い芸術品などの所有欲があるなら別として、人として生きていくためには、毎日ゴルフして酒飲みながら遊園地で遊んでいても問題ない世界になっていきます。不労が実現すると共に貨幣経済も急激に縮小し、別の価値観によって置換されるのは必然であり、人々は「お金」から解放され貧富の格差、階級といったものも自然と解消され、理想的な社会が誕生していきます。そこで、人間が究極的に価値を見出すのが、健康です。

健康、不老へ

エネルギー、食糧、衣服、土地、お金と次々フリーになっていく世界、遂に人類は不老を得ます。その鍵となる一人の女性について紹介されています。

「ブルックグリーンバーグ」彼女は1歳児の状態のまま一切の成長が起こらなくなった。風貌は1歳児そのもので立って歩くことすらままならない。しかし彼女は20年間を幼児のままこの状態を保った。因みに新陳代謝は日々行われているので髪の毛や爪は伸びたのだからまさに不老である。
 彼女はありとあらゆる大手医療機関、有名な大学病院で当時最高峰の検査という検査を受けたが遺伝的な異常を含め、成長遅滞以外の異常や原因となるものが一切確認出来なかった。更に成長ホルモンの投与や様々な治療を試みたがまったく成長の兆しが見られず終ぞ大人になることはなかった。

ここに、エクサスケールコンピューティングの開発により、これまでの数百万倍、遺伝子レベルでの多元的な探索、解析、シミュレーションが行われることで彼女の体の中で起こったその仕組みを解明することが出来ると考えられています。そしてをそれを人類の適用に成功した暁には、いくら年月が過ぎようとも肉体が老化せず自らの自我や精神を保てる「不老」が実現する可能性が高いです。

不老のみならず、画期的な医療診断技術、新しい病の発見やその治療法、肉体と技術の融合といった今からでは想像もつかない医療が実現していくでしょう。

エクサスケールの未来は、すぐそこ。
息子のために。

著者は、『2020年までにエクサFLOPSの処理が実現できるスパコンが完成し、2030年までにそれを使った様々な実験や試みが行われる。そして、それが技術的に実現し花開く時代が2045年頃にはやってくる』と予測します。

つまり、2030年頃を前特異点2045年頃を特異点と位置づけている。

エクサスケール・コンピューティングが大きく社会・生活をドライブする未来を、自分の寿命が来る前に立ち会えるかもしれないという想像は、とてもわくわくする反面、「今の時代で抜きに出ないと、息子の代では遅い」という責任感に似た感情が湧いてきます。
 こういったもの全てが出来上がったとして、最初のうちにその恩恵を受けれるのは富裕者でしょう。なので、私の代でこういったものにアンテナを張り巡っておいて、そういった技術が出てきたらすぐに対応していく財力と知力が必要だと思います。

勝手に自分に責任を乗せるのはストレスですが、やれる時に、やれる世代の人が、勝負に出ないと。

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