「GREAT@WORK 効率を超える力」「ビジョナリーカンパニー」

仕事ができる人になるとは、仕事で業績を上げ、仕事に情熱と強い目的意識を注ぎ込み、それでいて充実した人生も送るということなのだ。とても素敵なことではないか!

社会人なら誰しも「デキる人間」になりたいと思うものです。何となく仕事するより、後輩にも先輩にも尊敬され、出世していくようなサクセスストーリーを誰しも夢見るはずです。
 これらの本には、それらを実現するための実践編が書かれています。読んでまとめてしまうと、そこらのハウツー本と変わらないという印象でしたが、途中で面白い考察ができたので、格上げで紹介。

筆者のモートンは、デキルサラリーマンです。超一流のコンサル会社へ転職でき、順風満帆。業績は上げるのですが、仕事が忙しく、家庭よりも仕事という典型的なサラリーマンでした。
 同期のナタリーは、仕事は定時で帰るのに、モートンより素晴らしい仕事をこなすデキウーマン。モートンはこの理由が知りたくて、大学院へ行って「ナタリー研究~本当にデキル人間は何が違うのか~」というテーマで研究を行い、結局最後は大学教授として生きている人物です。

モートンはデキる仕事人について検証するために、アメリカの多種多様な職業や産業から管理職と従業員合わせて5000人を抽出して、調査を実施しました。調査参加者は、販売員、弁護士、トレーナー、保険数理人、株式ブローカー、医師、コンピューター・プログラマー、エンジニア、商店の店長、工場長、マーケティング担当者、人事担当者、コンサルタント、看護師、カジノディーラーなど。
 この調査により、デキる人間がとる「7つの習慣」が見えてきました。

学歴・仕事歴・仕事時間は関係ない

調査対象5000人に見られる業績の差のなんと66パーセントが、この「7つの習慣」で理由を説明できました。逆に、これまで大切だと思われていた学歴、在職期間、年齢、性別、労働時間といった要因は、すべてを合計しても、業績の差の10パーセントを説明できる程度で、デキル人間とは相関関係はありません。 これは驚きました。他の本など、絶対関係あるような項目ばかり。それより大切なのは「仕事の選択」だと彼はいいます。
 一瞬、多くの自己啓発系の本が言う事と同じだと思いましたが、本当の意味は「仕事の優先順位を決める事」は関係なく、「やらない仕事を決める事」という認識でした。つまり、

取り組むべき項目を3つ以内に厳選し、それ以外は断る。人はその状況で初めて自分の力を最大限に発揮できる。デキる人間は統計的に、これらの状況を作り出すのがめちゃうまいという事が、統計で示された事になります。つまり、「上司にノーと言える勇気」「仕事以外をシャットアウトできる集中力」「雑用を下に振るコミュ力」などが、デキる人はずば抜けているというのです。

なんか嫌な奴ですが、それを嫌な奴と思わせないから「デキる人間」になれる。そして、本には、これらの事をまとめて7つの習慣として載せています。

① 優先すべきことをいくつかに厳選し、そうして選んだ分野に大きな・努力を注ぐ(業務範囲の重点化)。
② あらかじめ定められたゴールに到達するだけでなく、新たな価値を生み出すことに重点を置く(仕事の再設計)。
③ 機械的な反復練習を避け、技能を伸ばす練習を行なう(質の高い学習サイクル)。
④ 自分の情熱を強い目的意識と一致させられる役割を探し求める(内的動機づけ)。
⑤ 他者の支援を得るために心理戦術をうまく使う(しなやかな主張)。
⑥ 無駄な会議を減らし、参加する会議では白熱した議論が必ず起こる一ようにする(厳密だが、オープンなチームワーク)。
⑦ 部署横断プロジェクトに参加する場合は、どれに参加するかを注意深く選び、生産性の低いプロジェクトは、はっきりと断る(ほどよい協働)。

働き方改革

とても色々な意味で、処かしこで使われている言葉です。時間や内容も含め、「改革だー」って。
 そもそもですが、現在の「働き方」と根源は、高度経済成長にあります。機械の導入で多くの職が淘汰されていく中、「終身雇用制度」が生まれました。働く方は安心して、会社に奉献していけば一生安泰になる制度です。ただし、これは企業が右肩上がりに成長し続けないと成り立たない制度。高度経済成長期のみに当てはまる制度で、現代では役に立たない制度です。

 デキる人間になりたいけど、上司の指示に逆らうなんて、そんなの絶対無理・・・と思われる方もいると思います。日本は美徳を大切にするので、仕事の面では長時間労働の働き方から抜け出し、新しい時代の賢い働き方に移るには足かせになります。新しい考えを実践していくのはいつだって、考えが柔軟な下の世代が優位です。新しい柔軟な考えを実践するために、相手を説得するスキルとコミュ力が重要な位置を占めるようになりました。

このことを示す良い例が、Apple社の元CEOスティーブ・ジョブズです。
Appleを追い出されてから再びCEOの座に復帰した時、いくつものアップル製品を製造中止にしています。
「何をしてきたかと同じくらい、何をしてこなかったかを誇りたい。」
という彼の言葉にもあるように、スティーブ・ジョブズもやるべき事を減らし、必要なものだけに時間をかける事で、Apple社を盤石なものへと成長させました。

平成から令和に変わり、おそらく30年後くらいから今をみると「働き方改革元年」とか言われると思います。そのくらい時代が動いているのを肌で感じます。ピケティでも書きましたが、今後は金持ちがもっと豊かになる時代です。上司は一生の付き合いにはなりえないので、自分の人生自分で舵をとって生きていかないと、絶対後悔しますね。

感想・考察~仕事の意味~

ずっと仕事の意味について考えていますが、私は

仕事はやりがい。つまり「情熱」が大切である

と言ってきました。しかし、これらの本で少し味方が変わりました。

大切なのは、もう一つの軸を考えること。「価値の創造」という軸。これがお金になる。

やりがいだけでは、食べていくのは難しい場面があります。どうしても価値を生み出し、お金に変えていく必要があります。

価値=他者へのメリット×クオリティ×効率

価値の式は、3つの要素から成り立ちます。
・第1の要素は、自分の仕事がほかの人や組織にどれくらいメリットを与えられるか
・第2の要素は、仕事のクオリティーです。仕事によるアウトプットの正確度、洞察度、斬新度、信頼度
・第3の要素は、どれだけ効率的に仕事ができるか。人はパートナーのスピードを評価軸にしています。

価値を作るために

会社での適切な評価、報酬に繋がらないと、モチベーションが保てません。自分の存在意義が分からなくなり、日々ただ同じことの繰り返し、ただ生きる事に繋がってしまう。徐々に目の前の仕事にだけに捕らわれ、これではいけないと思うようになると思います。すると、きっと新しい事を求めるでしょう。自分のまだ知らない、新しい刺激が欲しくなるでしょう。そこまでは、人間なら誰しも同じです。違うのは、次の刺激の選び方。

ほとんどの人は、「楽して儲かる違う分野」を選んでいきます。おそらく、よくわからない投資など。そして大体失敗して、「やっぱり堅実が一番」というのがオチです。

では、どうするか。それは、価値を基準に考える必要があります。新しい分野である以上、社会人1年生に毛が生えたくらいです。カモにされて当然です。特に、本業がある以上、時間もかけてないし。しかし、副業を始めるなら、それもちゃんとした仕事と捉える必要があります。藤原さんの本で、「1万時間でプロになれる」と紹介しました。逆に、新しい事を始めるならしっかりした事前準備が必要です。最低でも本やネットで勉強したり、誰か先を言っている先輩に聞いたり。「自分にしか作りえない価値」を作ろうとしているのだから、努力は必要ですよね。お金をもらうという事は、そういう事だと思います。

自分は去年、畑の広がる田舎に住み始めました。これまで都会のど真ん中の最前線で戦ってきましたが、「仕事と家庭のバランス」を考えると、実は田舎の方がかなり効率が高いとわかりました。家賃は5分の1で新築の一軒家が借りれます。月に2回ほど都会に出れば、実は仕事はしっかりこなせます。働く時間は3分の1程度になり、収入は激増しました。これは、「価値の再分布」が起こったためです。

人生にとって何が大切か。周りが見え始めた気がする。マクロで見ると、価値というのは相対的で、田舎のが自分を高く売り込める場合がたくさんあります。働く時間が減る分、一つの仕事に注視できるし、さらに情熱的になれる。

自分の価値、情熱の掛け算を考え、それを効率的にやっていこう。まだ自分はどこにでもいけるし、何者にもなれると教えてもらえた本でした。

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